2020年に義務化される「改正省エネ基準」とは

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省エネという言葉を聞くと、個人個人がエネルギー節約のためになんらかの取り組みをするイメージがあります。しかし、住まい自体に省エネができる工夫を施すのも地球環境や家計に優しい取り組みのひとつです。そして、省エネ性能を高めた家は、住む人にやさしく快適なだけでなく、「家そのもの」を長持ちさせてくれるメリットもあります。

皆さんは「省エネ義務化」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?2020年には、改正省エネ基準が義務化される、つまり、一定の省エネ性能のある家しか認められなくなります。この「省エネ義務化問題」、これからの家や今までの家、そして中古マンションとどういった関係があるのでしょうか。

住宅の省エネ基準の変遷

日本では、昔から住宅に関する省エネ基準が設けられています。
住まいづくりで「どんな家が省エネになるか」という基準が初めて制定されたのが1980年の「旧省エネ基準」。その後、住まいの断熱性能の基準が見直されるとともに、1992年には「新省エネ基準」、1999年には「次世代省エネ基準」と名称を変えています。

さらに、2013年には「改正省エネ基準」が制定されています。

改正省エネ基準とは?

住宅の省エネに関して、名前が変わっているだけでなく、その都度「建物がどのくらいエネルギーを消費するのか」の評価が見直されています。旧省エネ基準と改正省エネ基準の違いは、どんなものなのでしょう。

旧省エネ基準は「外皮」の断熱性能に関するもの

旧省エネ基準は、建物の外皮の断熱性能に関しての基準を設けていました。屋根や外壁、窓、天井、床…という具合に、外気と内気の間にある箇所のことですね。これに、変更点がプラスされたのが2013年改正省エネ基準です。

設備も加えた改正省エネ基準

以前のように、建物の外側の断熱性能だけでなく、暖房機器や給湯器、照明などの設備などの一次エネルギーの消費についても基準にプラスし、総合的に評価したものが改正省エネ基準です。基準をクリアした家にすることで、建物と設備機器の両面から省エネを実現することができます。

2020年には義務化?それ以前に建てられた住宅の扱いは?

これまでの改正省エネ基準は、住宅を購入する消費者側が「省エネ基準を満たしているから価値がある」かについて判断するための指標のひとつでした。「この住まいは省エネできるかどうか?」という目安だったということですね。しかし、今後はそれが義務化し、2020年からの住まいづくりでは基準に適合した住宅であることが求められます。

ただ、気になるのがこれまでに建てられた住宅のこと。昔は、省エネ基準に満たない住まいもたくさん建てられていました。

特に、「性能よりもコスト重視」のリーズナブルな住宅は、基準で制定されている評価よりも悪いのは珍しくなかったものでしょう。以前に建てられた住宅でも、自分達が住んでいる分には義務化された後にも問題となることはないでしょう。だからと言って安心はできません。なぜなら、今後は中古住宅として売り出すときにも基準を満たしていなければ「既存不適格建築物」との判断をされてしまうからです。義務化された後に売りに出すのであれば、改正省エネ基準を満たすようにリフォームしなければいけません。

また、売る予定はなくても、「改正省エネ基準の基準未満」ということが資産価値に影響する可能性も。新たに建てる住宅だけでなく、今までの住宅のリフォームでも改正省エネ基準が深く関わることになりそうです。

中古マンションのリノベはどうすべき?

これからマンションのリフォームをしようと考えている人にも影響が出るかもしれない改正省エネ基準。リフォーム・リノベーションの実施が2020年以前のタイミングだとしても、“省エネ”を意識することが大切です。なぜなら、これから作られるマンションはすべてが「改正省エネ基準」を満たしているのですから、あなたがリフォームした中古マンションが、いつかはそんなマンションと同じ中古市場に出ることを考えると、いくらおしゃれで素敵な空間にリフォームしていても売れやすさという競争が厳しくなるのは明白です。

住宅の省エネ性を評価する基準とされる、住宅性能評価制度における「断熱等性能等級」という言葉をご存知でしょうか。この評価は4段階に分かれていて、等級1は何も省エネ対策(断熱など)がされていないレベル、等級2は昭和55年の旧省エネ基準のレベル、等級3は平成4年の新省エネ基準のレベル、等級4は平成11年の次世代省エネ基準のレベルです。
最近のデータでは、等級4が60%程度、等級3が30%程度です。ほとんどのマンションは等級3の新省エネ基準を満たしており、多くのマンションが等級4の次世代省エネ基準を満たしているわけです。築年数の古いマンションほど等級3やそれ以下の割合が多く、築年数の浅いマンションほど等級4の割合が多いと言われています。省エネ義務化が進み、今後は等級4がスタンダードになると考えられますので、等級3の中古マンションを購入してリノベーションする場合にも、等級4レベルの省エネ性能となるようなリノベーションが望ましいでしょう。

さらに、住まいの空間全体に断熱性能をプラスするためには、設備を入れ替えるという部分的なリフォームではあまり住まい全体としての性能アップには繋がらないこともあります。
断熱性を意識するなら、リノベーションと言われるくらいの大がかりな改修をするといいでしょう。古いマンションでは、結露や湿気によるカビ、換気面で不満を抱いているケースが多くあります。これらの原因の多くがマンションに断熱がきちんと施されていないことと、古いサッシで家の気密性が低いために室内の空気が外気の影響を受けやすいことにあります。

一戸建ての住宅よりも制約が多いと考えられているマンションのリノベーションですが、間仕切り壁を取り払い、スケルトン状態からきちんと作り込めさえすれば性能アップも十分可能です。外気に接する壁の内側への断熱、一階や最上階でしたら床下や天井に断熱を施し、断熱性と気密性をアップ、さらに窓の内側に「内窓(二重サッシ、インナーサッシ)」を取り付け結露対策もできるでしょう。

また、窓を開けたときに風の通り道が悪ければ、風通しを意識して間取りの変更をするのもいいですね。これならば、湿気や臭いが部分的に溜まることもなく、すっきりと気持ちのいい空間が誕生しそうです。

さらに、設備機器も機能性の高いものを選び、改正省エネ基準を満たしましょう。高機能の冷暖房、断熱性の高い浴槽、節水性の高い便器、LED照明の導入などがエネルギー効率の向上に貢献します。水道代や光熱費の節約にもメリットがあるでしょう。

省エネを意識したリノベーションで気密性・断熱性が高くなれば、かつての悩みだった結露が抑えられます。断熱性のない住まいがもたらすカビやダニを抑え、住んでいる人の健康を守ってくれるでしょう。資産価値も高まって、健康的な住まいとなります。

まとめ

2020年からの改正省エネ基準の義務化。これから住まいを購入する人だけの問題ではありません。既存の住宅は、改正省エネ基準をクリアしていないことがありますが、それが原因で資産価値にも影響を及ぼす可能性が増えてきます。

それを避けるためには、マンションの専有空間を全体的に見直して、省エネを意識することが大事です。省エネという観点から、リノベーションで性能アップに繋げておけば、資産価値的な面でも安心できるでしょう。

【リノベーションでマンションの省エネ性能をアップするためにするべき工事】
外気と接する壁への断熱
一階の場合は床下の断熱、最上階の場合は天井への断熱
窓の断熱(インナーサッシの取り付け)
調湿建材(調湿機能のあるパネルやタイル)
LED照明、断熱材入り浴槽などの省エネ設備機器を選ぶ

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